COLLECTION
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《村娘図》
- 作品解説
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岸田劉生は、1917(大正6)年に病気療養のため東京を離れ、神奈川県藤沢の鵠沼で暮らし始める。ここで静物画や肖像画、風景画など、多くの名作を制作することになる。
本作は、近所に住んでいた9歳の娘、於松を描いたもの。母親が岸田家の手伝いに来ていた関係で、3歳年下の麗子ともよく遊んでいた。劉生は於松を「鄙びた田舎娘の持つ美」(岸田劉生『色刷会報』)のまたとないモデルと考え、右肩の羽織の少しほつれているのさえ不思議に美しいと感じたという。赤い頬に見られる素朴さや、「キヨトン(・・・・)と前方を見て無心でいる様な感じ」を水彩ならではの素早い筆遣いで捉えている。