COLLECTION
コレクション
《クラマールの午後》
- 作品解説
-
佐伯祐三は旧制中学の頃から赤松洋画研究所でデッサンを習い、東京美術学校西洋画科に入学する。卒業後の1923(大正12)年にパリに渡った佐伯は、翌1924年3月にパリ近郊のクラマールへと居を移す。同年5月、友人の里見勝蔵とともにオーヴェルのヴラマンクを訪ねて自信作を見せると「このアカデミック!」と一喝される。
ヴラマンクの一言は、佐伯に大きな衝撃を与えた。オーヴェル訪問後、佐伯の画風はフォービスム的な筆致へと劇的に変化していくことになる。
本作においても、赤い屋根や街路樹の大胆な筆致、古い外壁の素早い線での捉え方などに、その変化を見ることができる。佐伯は、そこにわずかな時間を過ごしたクラマールの風景を描いていて、裏面には米子夫人による、当時のクラマールの印象記が貼付されている。
「クラマールの午後 パリから二階つきの電車にてクラマール終点て下車したらこの横を通って森近くの家に帰りました この静かな広場には子供達がたのしく遊んていました それを思ひ出して 佐伯米子」