COLLECTION
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《音》
- 作品解説
- 本作は、《風》(1982年)と同様の構図で、ヒマラヤン猫が描かれた作品。加山は、その初期に短毛のシャムを、1970年代後半から長毛のヒマラヤンを飼い、題材としてきた。本作は、全体に栗毛色ながら、顔や足、尻尾が黒っぽいこげ茶色のヒマラヤン猫で、音に反応したかのように、後を向いて耳をそばたて、尻尾も少し立てている。加山は、猫の毛を一本一本丁寧に描くことによって、その存在をリアルなものにしていくが、栗毛色と思われた毛を近づいて見ると金泥を使っていることが分かる。暗い背景に一匹の猫という簡素な構図であるが、金泥の使用により、そこに華美にならない装飾性を加えたのである。1984年 の「現代日本画の偉才 加山又造展」(福岡市美術館)出品作。