COLLECTION
コレクション
《青いチュチュの踊り子》
- 作品解説
-
70歳を越えたマティスは、1941年、腸の病気のため大きな手術を受ける。術後に後遺症が残り、多くの時間をベッドで過ごすこととなるが、制作意欲は衰えることがなかった。この時期、体力のいる油彩画ではなく、ベッドの上で描ける木炭や鉛筆を使ったデッサンに集中して取り組んでいる。そうした影響もあって、油彩画でも、次第に描き込む要素が絞られ、線描やスピード感のある筆触が目立つようになる。
本作は、手術の翌年に描かれた作品。青いチュチュを着たダンサーが、花の生けられた花瓶を傍に置き、赤いベンチに座る。左手を腰にあて、こちらを見据えるこのダンサーは、力強い黒の線によりさらに際立って見える。堂々とした女性の姿とは対照的に、リズムよく描かれたチュチュの質感や勢いのある筆触が、画面に軽快さと躍動感を与えている。