COLLECTION
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《バザンクール草原・秋》
- 作品解説
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ピサロは、印象派の中心的な画家であり、農民主題の絵画を多く描いたことで知られる。1870年代、ポントワーズやモンフーコーといったフランスの小さな田舎町を転々としていたが、1884年にエプト川のほとりにあるエラニー村へと移り、以降、この地を拠点として制作に励んだ。
本作は、その対岸に広がるバザンクール村の風景。前景に干し草を集める農婦の姿があり、後景にはのどかな田園風景が広がる。ピサロは、この村の風景を、季節や時間、天候の異なる様々な条件のもとで描いた。本作では、色づいた木々の葉が秋の気配を伝えている。細かく重ねられた筆致からは、画家が1880年代後半に新印象派の影響を受けて取り組んだ点描画法の名残が感じられる。印象派の重要な擁護者であった画商デュラン=リュエルによって買い上げられた1点。