COLLECTION

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《ひとよ茸文花瓶》

制作年 1898-1900年頃
材質技法 ガラス(被せガラス、エッチング、アンテルカレール、マルケトリ、グラヴュール)
エミール・ガレ
作品解説
エミール・ガレの後期のガラス作品。本作は口縁に二つのくぼみをもつ花瓶。側面には、ひとよ茸を中心に、蜘蛛の巣や草木、ブナやプラタナスの枯れ葉などを表現した幻想的な風景が広がる。5本のひとよ茸は、その成長過程を表すように傘の開き方が様々である。ガレは、複数の色ガラスを全体あるいは部分的に層状に重ね、表面を浮彫りにして仕上げている。また、各層の間にも装飾を挟み込み、表現に奥行きを与えている。その光景には今にも自然の声が聞こえてくるような臨場感がある。
ひとよ茸は後期ガレを代表するモチーフのひとつ。これは、春から秋にかけて枯れ木などに生えるキノコで、細長い柄に灰色の傘をもつ。成長すると、一夜にして傘が溶けて黒く液化することから、この名がついた。自然を創作の源泉としたガレは、その生態に命の儚さを感じ取り、ガラスで表現しようとしたのだろう。
ひとよ茸文花瓶