COLLECTION

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《ハートの涙(ケマンソウ)》

制作年 1902年
材質技法 ガラス(被せガラス、グラヴュール、マルケトリ、アプリカシオン)
エミール・ガレ
作品解説
エミール・ガレの後期のガラス作品。本作は、ケマンソウの花を象ったハート型の胴に短い首が乗る花器である。ピンク色の厚手のガラスに透明ガラスを重ねて、正面に、ケマンソウの花を模した赤色ガラスの塊をマルケトリ技法により熔着している。この花は、茎や枝から伸びた花茎に吊り下がり、花弁が外側にめくれ上がって開花する特異な生態をもつ。ここでは、花弁の特徴がアップリケで再現されるとともに、背面には、花茎に吊り下がる様子がグラヴュール彫刻で表現されている。また、胴部の左右につく透明ガラスの耳は、花弁が反り返る姿を様式化した形となっている。
西洋において、ケマンソウはその姿から心臓に例えられる。本作の「ハートの涙」という愛称はそのドイツ語の呼称に由来している。ガレも作品によく取り入れたが、本作のように高肉浮彫りで表現した作品は珍しい。
ハートの涙(ケマンソウ)